値上げやダイヤ改定は避けられないが… 公共交通に必要な視点とは
前田智
沿線住民の高齢化や運転手不足などで、地域の公共交通は岐路を迎えている。対策や必要な視点は何か。公共交通の現状に詳しい名古屋大大学院の加藤博和教授に聞いた。
――大阪府南部の南河内地域を走っていた金剛自動車の路線廃止など、路線バスの廃止や減便が相次いでいます。運転手不足が大きな要因とされていますが、なぜ足りなくなったのでしょうか。
路線バス事業者は乗客が減って経営が厳しくなると、以前は運賃を上げて対応していた。だが、値上げでさらに乗客が減る悪循環になり、事業者は経費削減で対応するようになった。
2000年代の規制緩和で競争がより激しくなり、人件費が減らされるようになった。待遇悪化で若者が敬遠し、運転手の高齢化と減少が進んだ。残業を前提にダイヤを何とか維持している状態で、24年から始まった残業規制でさらに厳しくなった。
大阪・関西万博での臨時バスの運転手確保もあり、大阪では運転手の確保がより難しくなっている。
「公共ライドシェア」など様々な手段可能に
――そうした状況で公共交通を維持するにはどういったことが必要ですか。
運転手の待遇改善や若い世代…