第9回「フードバンクいらない社会に」 物流会社の覚悟、子ども食堂を支援

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渡辺淳基
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 あまった食材を企業などから集めて、子ども食堂などに提供する「フードバンク」。熊本県合志市の山下海南子さん(43)が自身の使命を感じてこの活動を始めたのは3年前、コロナ禍で苦しむ子どもたちの窮状を知ったのがきっかけだった。「いつかはフードバンクなんていらない社会に」と理想を掲げるが、支援を必要とする人は増えている。2025年は情報発信を強めて協力企業を増やし、取り組みの拡大をめざす。

Changin’(9)

2025年は巳年。脱皮を繰り返し成長する蛇のように、「変化」しながら前に進む九州ゆかりの人たちに話を聞きました。

 《物流会社を営む家に一人娘として生まれた。経営に携わり始めていた20年、新型コロナの感染拡大が活動を始めるきっかけになった》

 経済がまひして困窮する家庭が増え、満足に食事ができない子どもたちがいるという報道を見て、いても立ってもいられなくなりました。見て見ぬふりはできないと。まずは、(無料または定額の)「子ども食堂」を支援する社会貢献活動を会社で始めました。

 食堂を運営する団体の方々と話すうちに見えてきたのは、一番困っているのが実は物流面だということです。食品の寄付があっても、保管や配送が難しい。子ども食堂の運営者が自家用車で食材を運ぶため、貴重な冷凍食品が解けてしまうこともあったそうです。遠隔地への配送にも課題がありました。

 《実家の物流会社は様々な食…

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この記事を書いた人
渡辺淳基
熊本総局
専門・関心分野
経済、民主主義

連載Changin’(全14回)

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