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補正予算は規模ありき? 22年度は4割使われず 検査院「説明を」

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座小田英史

 物価高対策などが盛り込まれた2022年度の補正予算32兆円のうち、4割近い11.7兆円が年度内に使われていなかったことが会計検査院などへの取材で分かった。当初予算で想定しなかった状況に対応する補正予算は、年度内の執行が原則だが、実現できていなかった。補正予算のつく事業の必要性に疑問の声が出ている。

 石破政権は昨年度を上回る13.9兆円の24年度補正予算案を今国会に提出し、近く成立すると見込まれているが、野党は規模ありきと指摘する。

 補正予算は災害や経済危機などに対応する予算で、「特に緊要となった経費」が対象だ。

 コロナ禍前は数兆円規模だったが、近年は数十兆円規模に拡大。当初予算と合わせて使われるため、補正分が実際にどのくらい使われたか分からなかったが、検査院は今回、22年度補正予算が配分された項目を初めて全体的に調べた。同年度はコロナ禍後の物価高対策で30兆円台と巨額になった。

 検査院は7107件の予算項目のうち、補正予算が配分された1285件(当初予算などと合わせ計109兆円)の執行率を分析。朝日新聞は検査院のデータを元にさらに調べた。

 その結果、①197件(同0.9兆円)で補正予算で想定した事業が実施できず、補正相当分の2127億円が使われていなかった。②355件(同20.6兆円)で、補正3.3兆円を上回る繰り越しが出て、その額は計8兆円だった。③250件(同20.2兆円)では補正分も一部使われたが、計8.2兆円が繰り越された。④483件(同67.3兆円)は繰り越しなしだった。ただ、④の大半は独立行政法人などへの予算の付け替えだった。当初分から執行したとすると①~③で補正分の未使用・繰り越しは計11.7兆円だった。

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 このうち②の例では、農林水…

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この記事を書いた人
座小田英史
熊本総局|警察司法、公共政策
専門・関心分野
財政、公共事業、調査報道、農業
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    千正康裕
    (株式会社千正組代表・元厚労省官僚)
    2024年12月16日8時31分 投稿
    【視点】

    補正予算の中には、元々来年度当初予算要求に盛り込まれていたものもかなりある。いったん補正予算に「前倒し」で組み込まれると、翌年度以降も継続して実施する場合当初予算の枠内では予算総額に収まらないので、毎年補正予算で「前倒し」というサイクルにな

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