昭和レトロな豊後高田、商標登録 変わる客層へブランド力強化
昭和のレトロな魅力を売り出す大分県豊後高田市の昭和の町が「豊後高田昭和の町」として商標登録を受けた。昭和の町を掲げる観光地は他県にもできており、市は観光ツアーや飲食物などにこの商標を使い「元祖」としての人気とブランド力向上をめざす。
昭和の町は2001年、商店街のひなびた雰囲気を逆手にとり「昭和30年代の町」として誕生した。飲食や雑貨などレトロ感漂う「昭和の町認定店」は当初7店だったが、現在は58店まで増えて県内を代表する観光地に成長した。
商標の「豊後高田昭和の町」は今年8月、特許庁に登録された。企画旅行や宿泊施設、飲食物の提供などでこの商標を独占的に使うことができる。
申請した大きな理由はライバルとの差別化だ。「昭和の町」を掲げる地域は、静岡県と岡山県にもある。市は21年に「昭和の町」として商標申請をしたが、特許庁から「ほかの地域にも同じ名前がある」として却下。昨年5月、「豊後高田昭和の町」と名称を変えて申請したが、やはり一度はダメ出しをされた。その後、包括連携協定を結ぶ大分県信用組合の協力なども受けて、新聞記事などの資料を添えた意見書を提出し、認められた。市商工観光課の担当者は「通常の倍以上の時間がかかって何とか登録までこぎつけた」と話す。
商標の効果として期待するのは、観光客増とその主流になっている若い世代へのアピールだ。昭和の町には19年まで年間40万人前後の観光客が訪れていた。しかし、コロナ禍で半減し、昨年も26万人にとどまる。合わせて、ここ数年は客層が大きく変わり、昭和を懐かしむシニア層よりも20代、30代やアジアからのインバウンドが中心になってきているという。
河野真一商工観光課長は「昭和を知らない世代を取り込んでいくためには、商標を生かしてこれまでとは違った商品開発を進めていく必要がある」と話している。