青学大で再生した「努力の天才」 吉田祐也がつかんだ日本歴代3位

辻隆徳
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 来年9月開催の世界選手権東京大会の選考会を兼ねた福岡国際マラソン2024が1日、福岡市平和台陸上競技場発着の42・195キロであり、吉田祐也(GMOインターネットグループ)が日本歴代3位となる2時間5分16秒で制した。世界選手権の参加標準記録(2時間6分30秒)も突破し、代表入りへ前進した。2位は22年世界選手権代表の西山雄介(トヨタ自動車)で2時間6分54秒だった。(スタート時の天気は晴れ、気温14・6度、湿度54%、南東の風2・6メートル)

 2時間5~6分台の記録を持つ日本選手が6人集まったレース。吉田祐也(GMOインターネットグループ)は混戦を予想していたが、実際には32キロ付近で単独走になった。「想定外だった」

 心中とは裏腹に表情は変わらない。164センチの体で淡々と、跳ねるように進んだ。「余力はあった。レースを支配しようと思った」。右拳を振り上げ、2時間5分16秒でフィニッシュした。

 4年前、自身2回目のマラソン挑戦で初優勝を経験したのが今回と同じコースでの大会だった。その後の飛躍を期待されたが、伸び悩んだ。

 現状を打破しようと今年1月から母校・青学大に練習拠点を変えた。指導を受ける原晋監督には「フォームに勢いがなくなっている」と指摘された。

 今夏は学生らと練習を共にし、「刺激をもらってポジティブな思考になった」。練習では40キロ以降を意識し、スピード強化に取り組んだ。この日は40~41キロを2分55秒。終盤でも失速せず、日本歴代3位の好記録につなげた。

 青学大時代は最終学年で初めて箱根駅伝出場をかなえた。原監督は吉田を「努力の天才」と呼ぶ。

 「世界大会で結果を出して、正真正銘(日本の)陸上界のトップになるために走り続けたい」。苦難を乗り越えた27歳は、再び成長曲線を描いていく。

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