シリア反体制派、第2の都市アレッポを制圧か 識者「政権支配に隙」

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イスタンブール=根本晃
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 在英のシリア反体制派NGO「シリア人権監視団」(SOHR)は30日、反体制派がシリア北部にある第2の都市アレッポに攻勢をかけ、大部分を制圧したと発表した。アサド政権軍は「反撃のため一時的に撤退する」と表明。アレッポは2016年にロシアやイランの支援を受けた政権軍が奪還した反体制派の拠点で、近年膠着(こうちゃく)していたシリアの戦闘が再び激化する可能性がある。

 SOHRによると、北西部イドリブを拠点とする過激派組織「シャーム解放機構」(HTS、旧ヌスラ戦線)などの反体制派は27日、政権支配地域への進軍を開始。29日にイドリブから約50キロ離れたアレッポ県の中心都市アレッポ市内に進攻し、30日までに政府施設や収容所を含む市の大部分を制圧したという。

 アサド政権軍は声明で、反体制派が重火器やドローンなどを用いてアレッポなどを攻撃していると発表。29日時点で反体制派に「甚大な損害を与えた」として撃退作戦を続けるとしていたが、30日、「反撃の準備のため部隊を再配置する」として地上部隊の一時撤退を表明した。ロイター通信が政権軍筋の情報として伝えたところによると、ロシア軍と政権軍は30日、アレッポ郊外の反体制派を戦闘機で空爆した。SOHRによると、一連の戦闘で、30日までに計300人以上が死亡した。

民間人に犠牲も

 そのうち反体制派の戦闘員が…

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    錦田愛子
    (慶應義塾大学教授=中東政治、難民研究)
    2024年11月30日23時52分 投稿
    【解説】

    シリアにおけるアサド政権と反体制派の対立は、2020年以降は大きな戦闘がみられず膠着状態で落ち着いていた。2011年に始まった「アラブの春」はこれにより終息を迎えたように思われていたが、当事者たちにとっては戦いは続いていたということだ。昨年

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