地方銀行の女性役員:上
地方銀行で今年、生え抜きの女性取締役が相次いで就任しました。地銀は地域経済の中心的存在である一方、性別による職務や役割の固定化が長らく指摘されてきました。地銀は今、どう変わろうとしているのか。女性役員に聞きました。
今春、千葉銀行で代表取締役についた淡路睦(むつみ)さん(58)。地銀で初の生え抜きの女性代表取締役だ。
入行して35年。現在はグループの経営戦略やデジタル戦略を束ねる立場になっているが、道のりは平坦(へいたん)ではなかった。
「失望した」。大学卒業後の1989年に入行して、早々に職場に感じた思いだ。
研修で目の当たりにしたのは男女の差。男性は預金や融資など一通りの業務について研修があるのに対し、女性は個人顧客向けの一部業務だけだった。
「女性は期待されていない。(銀行が育てていく)投資対象ではないんだ」。学生のころ、想像もしなかった現実だった。経済的に自立する、という思いを支えに、与えられた業務を淡々とこなすことに注力した。
意識改革も思うように進まな…