入行早々に「失望した」 地銀の男女差、生え抜き女性役員がみた変化

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高橋諒子

地方銀行の女性役員:上

 地方銀行で今年、生え抜きの女性取締役が相次いで就任しました。地銀は地域経済の中心的存在である一方、性別による職務や役割の固定化が長らく指摘されてきました。地銀は今、どう変わろうとしているのか。女性役員に聞きました。

 今春、千葉銀行で代表取締役についた淡路睦(むつみ)さん(58)。地銀で初の生え抜きの女性代表取締役だ。

 入行して35年。現在はグループの経営戦略やデジタル戦略を束ねる立場になっているが、道のりは平坦(へいたん)ではなかった。

 「失望した」。大学卒業後の1989年に入行して、早々に職場に感じた思いだ。

 研修で目の当たりにしたのは男女の差。男性は預金や融資など一通りの業務について研修があるのに対し、女性は個人顧客向けの一部業務だけだった。

 「女性は期待されていない。(銀行が育てていく)投資対象ではないんだ」。学生のころ、想像もしなかった現実だった。経済的に自立する、という思いを支えに、与えられた業務を淡々とこなすことに注力した。

 意識改革も思うように進まな…

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    首藤若菜
    (立教大学教授=労働経済学)
    2024年11月25日6時0分 投稿
    【視点】

    女性が役員になり意思決定に参画することが大きな意味をもつことが分かる記事です。 従来、多くの企業が、ほぼ男性のみで意思決定を行ってきました。経営計画、事業方針、人事制度などを男性のみで決定する構造は、女性にとって不利な雇用慣行が見過ごされ

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    濵田真里
    (Stand by Women代表)
    2024年11月26日14時44分 投稿
    【視点】

    記事の中で、少しずつ女性比率が増えていることに対して「『昔よりまし』で片付けてはいけない」という発言がありますが、強く共感しながら読みました。 今回は企業内での話ですが、私が関わる政治の場における女性比率増加の歩みは遅く、数ミリずつの変化

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