公開範囲の再検討求める答申 習志野市不正発注で行政不服審査会

本田大次郎
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 千葉県習志野市下水道課の不正発注問題で、市行政不服審査会は9月27日、市が情報公開請求に対して調査報告書の3分の2以上を非公開とした処分などを巡り、公開範囲の再検討を求める答申を宮本泰介市長にした。

 調査報告書などの公開を求めていた朝日新聞記者が、「非公開の範囲が広すぎて不当」として、審査請求していた。

 下水道課は2018~19年度、6件の業務(計346万3千円相当)を、契約手続きをせず3社に発注し、事業費を支払わなかった。同課と3社は他の19回の事業費を水増しし、不払い分にあてていた。

 情報公開請求で公開された調査報告書は、「事案の概要」「聞き取り結果に基づく事案の内容」など全体の3分の2以上は、項目ごとに全文が非公開だった。市は理由の一つとして、業者が被害者的な立場にあったと主張。情報を公開して業者が特定されれば「(業者の)社会的信用を低下させる」などとした。

 これに対し審査会は「水増し請求自体が違法であることは明らか」とし、このような事実が開示されることによって「正当な利益が害されるおそれがあるということはできない」などと、市の主張を退けた。

 一方で、審理に出された事実関係のほかに事情があれば「(業者の)特定に至らない範囲での公開とすべき」とした。そのうえで市に対し、「再度検討、判断する機会を与える」とし、部分公開決定処分などについて「取り消しが相当である」と結論づけた。

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