ペット不可と同列に「LGBT不可」 賃貸物件の表記に当事者は絶句

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添田樹紀 榎本瑞希

 福岡市の不動産会社が扱う賃貸物件の紹介資料で、入居者の募集条件に「LGBT不可」という項目を掲げているケースが複数あることが確認された。性自認や性的指向により入居を受け入れないと読みとれる物件の表記について、当事者から戸惑いや落胆の声があがっている。この会社は性的マイノリティーの入居を支援してきた経緯があり、「不適切だった」として対応に動いている。

 市内に住む30代の男性は昨年2月、住まい探しで訪れたこの不動産会社の店舗で、賃貸物件の間取り図や賃料などの情報とともに「LGBT不可」と記された物件資料を受け取り、言葉を失った。

 男性は、離れて暮らしていた同性のパートナーとの将来的な同居に向けた相談もできると思い、性的マイノリティーの部屋探しの支援に熱心なことで知られる同社を選んだ。

 だが示された物件資料で、募集条件の欄に「ペット相談(犬)不可」と並び「LGBT不可」と書かれているのを見て「犬や猫と同じか」とショックを受けた。指摘する気にもなれず、その足で別の不動産会社に向かい、物件を契約した。

 朝日新聞が確認したところ、この会社は、今年8月に店舗を訪れた客にも、募集条件に「ペット相談(犬)不可」「楽器相談不可」などの項目とともに「LGBT不可」と記された物件資料を提示していた。一方で「LGBT可」という資料もあった。

会社側、部屋探し支援で「物件管理のため分類」

 同社は「LGBT不可」とい…

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この記事を書いた人
添田樹紀
神戸総局|兵庫県政
専門・関心分野
国内政治、東南アジア、性的マイノリティ
榎本瑞希
西部報道センター
専門・関心分野
労働・福祉・ジェンダー
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    岩本菜々
    (NPO法人POSSE理事)
    2024年10月4日1時19分 投稿
    【解説】

     日本では、住宅政策が「持ち家取得」を中心に展開してきたことから、住まいは「権利」であるという認識が希薄です。都市研究者の平山洋介さんが指摘するように、賃貸は「仮住まい」と位置付けられてきたので、借家人に対する法的な保護も手薄です。  そん

    …続きを読む