【詳報】能登豪雨、地震の苦境に追い打ち 道路寸断、多数の集落孤立

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【動画】中屋トンネル付近の路上で土砂崩れに挟まれ、一夜を過ごした男性。22日午後4時ごろに救助された=金居達朗撮影

死者は計6人 安否不明者は14~82歳の5人

 記録的な大雨で河川の氾濫(はんらん)や土砂崩れが相次いだ能登半島地震の被災地では、22日午前も強い雨が降った。朝日新聞の取材で計6人の死者が確認された。石川県内では道路が寸断され、集落など115カ所が孤立、仮設住宅9団地が床上浸水して、多くの被災者が再び避難生活を強いられている。地震と大雨による二重の被害を受けた状態で、復旧・復興への影響が懸念されている。

 石川県によると、22日午後4時時点で、死者は珠洲市で1人、行方不明者は珠洲市と能登町で計2人。行方不明者を当初3人としていたが、輪島市の1人は無事が確認された。

 また、県は行方不明者とは別に、捜索を円滑に進めるため、大雨が原因とは断定できないものの連絡が取れない安否不明者として、23日午前10時現在で輪島市と珠洲市に住む14~82歳の男女5人の名前を発表している。

【動画】記録的な大雨で一面が茶色い海のようになった輪島市町野町。大量の木々や土砂が建物に流れ込んでいた=もとやスーパー提供

 このほか、消防や警察などによると、22日早朝から輪島市門前町を走る国道249号の中屋トンネル付近で、連絡が取れない作業員らの救助活動を実施。作業員1人と住民とみられる1人の死亡を確認した。さらに同市町野町で、倒壊家屋から救出された女性ら2人の死亡が確認されたという。

 また、輪島市久手川(ふてがわ)町で住宅や車が川に流されて、住民4人と連絡が取れていない。22日に川の下流で高齢の男性1人が流されているのが見つかって死亡が確認されており、連絡の取れない4人のうちの1人の可能性があるという。

 県によると、22日午後4時時点で、能越自動車道の一部区間ほか、25路線48カ所で通行止めが発生。孤立状態の集落などは、輪島市で99カ所、珠洲市で13カ所、能登町で3カ所にのぼっている。

 床上浸水した仮設住宅は1カ所増え、9団地になった。停電は輪島市を中心に4市町で計約5200戸で発生しており、断水も各地で起きている。避難者は1088人にのぼる。

 総務省の北陸総合通信局によると、停電の影響を受け、能登半島北部の携帯電話の基地局で、停波が拡大。停波は四つのキャリアで、計248局(22日午前7時時点)から280局(同午後3時半時点)に増えた。携帯基地局のバッテリー切れが主な原因という。道路が復旧すれば「2、3日以内に応急復旧が可能」としている。

 石川県内では22日になって雨脚が弱まり、気象庁は、輪島、珠洲、能登の3市町に発表していた大雨特別警報を大雨警報に切り替えた。午後2時までの48時間降水量は、輪島市498.5ミリ、珠洲市394.0ミリに達し、統計を始めた1976年以降で観測史上最大となった。

 輪島市の坂口茂市長は22日夕、県の災害対策本部員会議にオンラインで出席し、「今日、孤立集落にヘリと陸送で入ると言った物資が一切入っていない。どうなってるのか」と訴えた。

 また、避難者が避難所28カ所に730人いると説明。「いまは雑魚寝状態。学校も床上浸水や(授業)再開中などで使いにくい。快適な受け入れがこの人数ではできないおそれがある」とした。

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