枝野氏「個別的自衛権の範囲で読み込める」 発言は「根拠不明」

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田嶋慶彦
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【枝野幸男前代表の発言】

 「法律の条文は明確に集団的自衛権でないと読めない書き方にはなっていません。閣議決定が集団的自衛権まで認めているから、集団的自衛権を含むんだなって解釈になっているので、閣議決定が個別的自衛権の範囲ですよとなれば、個別的自衛権の範囲で十分に読み込める」

(9月17日のBS-TBSの番組)

【判定結果=根拠不明】 現行法は、「我が国と密接な関係にある他国」への武力攻撃に対しても、日本が武力行使できる書き方になっている。枝野氏の「個別的自衛権の範囲で十分に読み込める」との発言は根拠が不明

 立憲民主党の枝野幸男・前代表が17日のテレビ番組で語った。2015年に成立した安保関連法で認められた「存立危機事態」での武力行使は、集団的自衛権の行使と解するのが政府の立場だ。枝野氏は記者会見やテレビ番組などで同様の発言を繰り返している。なぜ「存立危機事態」は個別的自衛権の範囲だと「読める」と主張するのか、番組や記者会見で、十分な根拠の説明はなかった。

 集団的自衛権について、政府は「国際法上、自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもって阻止することが正当化される権利」と説明している。

 また、国際法では「他の国家…

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    市原麻衣子
    (一橋大学大学院法学研究科教授)
    2024年9月21日10時35分 投稿
    【視点】

    こうした内容の記事を通常の記事として発信することには疑問を感じるわけではありませんが、これをファクトチェック記事として出すことには違和感を覚えます。個別的自衛権で対応可能な安全保障行動に関するこの議論は、憲法および個別的自衛権概念に関する解

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    藤田直央
    (朝日新聞編集委員=政治、外交、憲法)
    2024年9月21日10時48分 投稿
    【提案】

    2014年に安倍内閣が閣議決定で憲法解釈を変更し、集団的自衛権の行使を認めた際、それにタガをはめるとして定めた要件が存立危機事態です。この記事に出てくる元内閣法制局長官の阪田氏にかつてインタビューし、この存立危機事態が実際はあいまいでタガに

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