朝鮮人虐殺の追悼文、対応分かれる 知事2人が初めて送った背景は

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田渕紫織
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 関東大震災から101年。当時、「朝鮮人が略奪や放火をした」などの流言飛語が広まり、多くの朝鮮人らが殺害された。虐殺の犠牲者らを追悼する式典に、今年も東京都小池百合子知事は追悼文を送らなかったが、埼玉、千葉両県の知事は相次ぎ追悼文を寄せた。背景には、各地で公的記録や証言を掘り起こしてきた市民たちの危機感があった。

小池百合子知事は今年も送らず

 東京都立横網町公園では毎年、虐殺された人を含む朝鮮人犠牲者の追悼式典が行われ、日朝協会などの実行委員会の求めに応じて、歴代知事が追悼文を寄せてきた。しかし、小池知事は8年連続で送っていない。理由については、同日にある震災犠牲者を悼む大法要で「全ての方々へ哀悼の意を表している」とする説明を繰り返してきた。

 この対応に対し、1日にあった式典で、宮川泰彦実行委員長は、「過去の歴史から逃げ回るのではなく、きちんと認めてほしい」と語った。

埼玉・千葉県知事が初めて送った理由

 一方、埼玉、千葉では、式を主催する市民団体が初めて追悼文を依頼し、両県の知事が応じた。

 埼玉県で関東大震災による混…

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この記事を書いた人
田渕紫織
東京社会部
専門・関心分野
災害復興、子ども
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    長島美紀
    (SDGsジャパン 理事)
    2024年9月20日10時11分 投稿
    【視点】

    先日、関東大震災発生後の混乱状況の中で、現在の千葉県野田市にあたる福田村で、幼児や女性を含めた9人の日本人が朝鮮人と間違われたことをきっかけに地元の自警団に殺された事件を丹念に取材された辻野弥生さんの「福田村事件」を読みました。 印象的だ

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    高木智子
    (朝日新聞記者=社会一般、平和、差別)
    2024年9月20日13時4分 投稿
    【視点】

    デマにあおられた住民によって虐殺された朝鮮人の慰霊に、地元自治体がどう向き合うか。この点が問われていますが、記事でも触れられているとおり、追悼文を送り続けている、もしくは式典そのものを開いている地元自治体があることが、発見でもありました。

    …続きを読む