縮みゆく故郷をデザイン、25歳大学院生の背伸びをしない地域おこし

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富田祥広
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 平尾彩乃さん(25)は幼い頃、机に向かって勉強するのが苦手だった。

 夢中になれたのは空き箱などで何かをつくること。リカちゃん人形の洋服、部屋、ベッド……。

 小学校での忘れられない思い出は「全校表現」の活動だ。地元の昔話や言い伝えを劇にして、学習発表会で地域の人たちに毎年披露した。

 当時の全校児童は約40人。同級生は5人。みんなで地域の人たちに話を聞いて、セリフや動きを覚え、小道具やセットを手作りした。効果音も自分たちで演奏した。

 みんなで何かをつくるのは本当に楽しかった。

 地元の中学校から工業高校に進み、大学ではデザイン工学を学んだ。いまは大学院で建築などの研究に取り組んでいる。

 建築は、小学校での全校表現と似ている。その場所について調べ、プランを考えて、みんなで完成をめざす。デザインする力と、他人と協力する力。テストの点数では測れない力が必要だ。

 誰かと協力して、何かをデザインする――。これから歩みたい道を、ぼんやりとイメージした。

幼い頃の体験と記憶が、25歳の今に大きくつながっているそうです。平尾さんのある1日を取材しました。

創立115周年の母校を訪れて

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 今月2日、鳥取市気高町の逢…

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この記事を書いた人
富田祥広
鳥取総局
専門・関心分野
国内社会、ルポルタージュ
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    筒井一伸
    (鳥取大学地域学部地域創造コース教授)
    2024年9月20日8時59分 投稿
    【視点】

    同じ鳥取市民として、とてもワクワクする話を読ませていただいた。机に向かう勉強ではなく、地元の昔話や言い伝えを劇にして地域の人たちに毎年披露する「全校表現」。みんなで何かをつくるのが楽しみだったと平尾さん。実はこの「みんな」が大切である。しか

    …続きを読む