第2回人気マンガ「映像研」の大童澄瞳さんに聞く、マイノリティーの描き方

有料記事日本人ですけど

聞き手・浅倉拓也

 人気漫画でテレビアニメや映画にもなった「映像研には手を出すな!」の主要キャラクターに、生徒会書記の「さかき・ソワンデ」がいます。彼女のように外国にルーツがある児童生徒は現実の学校では決して珍しい存在ではありませんが、アニメやテレビドラマではあまり見かけないようです。「映像研」の作者の大童澄瞳(おおわらすみと)さん(31)に、作品に込めた思いを聞きました。

ルーツを仕掛けにするのでなく

 ――「映像研には手を出すな!」のさかき・ソワンデは、容姿や名前からアフリカ系の方のようですが、なぜ主要キャラクターを外国ルーツの生徒にしたのでしょうか。

 一つあったのは、リアリズムですね。日本には海外にルーツがある人がいて、その割合は年々増えている。なので、そういう人をごく普通に登場させたいと。「この人は外国にルーツがありますよ」という描き方や、そのことを「仕掛け」にするのではなく、ただその人がそこにいるということにしたかった。

 もう一つは、私はSFが好きなんですが、そこに昔からある「グローバルな社会」のイメージもあったかな。宇宙船の乗組員って、多国籍で色んな人が集まって地球人として宇宙に行きますよね。でも、一般的な学園ものの作品では、様々な国にルーツを持つ人というのがあまり出てこない。留学生や、その国を代表するステレオタイプで描かれることはありますが、普通に働き、普通に生活している人という視点もほしいな、と思って。

ずっと障害者が身近で

 ――マイノリティーの存在を見せようと、意図的に描いたということですね。

 ナチュラルな表現として描こうという意思はあったのですが、そういう意識もなかったというとうそになりますね。ネットで日本のアニメが好きな人が交流する海外サイトなどを見ると、「アフリカ系は『みんなマッチョで陽気』みたいなステレオタイプで描かれがち」といったコメントなんかがあって、そういうのも頭の隅にありましたね。

 ――ご自身も障害があることを公表していますが、関係しているのでしょうか。

 そうですね。僕は日本で人種…

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この記事を書いた人
浅倉拓也
大阪社会部
専門・関心分野
移民、難民、外国人労働者
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