旧東独は「二級市民」なのか ナチスの過去、右翼が警戒を超えた背景

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ドイツ東部ズール=寺西和男

 ドイツの州議会選で、移民排斥などをうたう右翼政党「ドイツのための選択肢」(AfD)が初めて、第1党になった。ナチスの過去から過激な右翼主義に警戒感が強いドイツ。にもかかわらず、旧東ドイツの州を中心に支持が高まっている。東西ドイツ統一から34年となる今、その背景には何があるのか。

 緑が生い茂る山々に囲まれたチューリンゲン州の都市ズール。同州で9月1日に行われた議会選では、AfDが第1党になった。6月の欧州議会選でもAfDが31%を獲得し、大きく得票を伸ばした地域だ。

 8月中旬、中心部から車で10分ほどの場所に行くと、数十の建物が見えてきた。バイクメーカー「ジムソン」の工場跡地だ。旧東ドイツを代表する企業だったが、東西ドイツ統一後、西側のメーカーとの競争に勝てず、2003年に閉鎖された。ズールでは約3千人が職を失ったという。

 かつて工場だった建物のいくつかには中小の事業者が入るものの、倉庫として使われている部分も多く、人通りはほとんどない。

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この記事を書いた人
寺西和男
ベルリン支局長
専門・関心分野
欧州の政治経済、金融、格差、ポピュリズム