朝日新聞社の男性社員、過労で労災認定 21年に選挙事務担当

 中央労働基準監督署(東京)は、15日付で、長時間労働による過労が原因で休業したとして、朝日新聞東京本社の50代の男性社員の労災を認定した。

 この社員は、40代だった2021年7月から政治部に所属し、衆院選の選挙事務など複数の業務を担当。同年10月の衆院の解散当日の夜、本社で勤務中に不整脈の発作により倒れ、22年1月まで休業した。社員は「発症して休業したのは当時の長時間労働による過労が原因」として、昨年9月、中央労基署に労災申請していた。同署は今年5月、労働基準法等の法令違反ではないものの、労働時間を適正に管理するよう、本社に指導票を交付していた。

 朝日新聞社では、裁量が大きい記者の労働時間を厳密に把握するのが困難なため、みなし労働時間制を適用している。その上で、毎日の出退勤時間から8時間(所定労働時間+休憩時間)を引いた1カ月分の累計を「措置基準時間」として把握し、健康確保に必要な措置をとるための目安にしている。この社員も当時、みなし労働時間制で働いていて、発症直前の1カ月間の措置基準時間は118.5時間だった。社員は現在、編集部門の別の部署で働いている。

 朝日新聞社広報部は「これまでも社員の健康確保に取り組んできましたが、長時間労働による過労が原因で初めて労災認定されたことを重く受け止め、時短促進策の推進や勤務制度の説明など、再発防止に努めます」としている。

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