トイレットぺーパー「長巻き」、特許侵害を認めず 東京地裁判決

米田優人

 トイレットペーパーの紙が従来より長い「長巻き」に関する特許権を侵害されたとして、「スコッティ」で知られる日本製紙子会社の日本製紙クレシア(東京)が、「エリエール」を展開する大王製紙(愛媛)に販売中止や損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁(柴田義明裁判長)は21日、特許侵害を否定し、請求を棄却する判決を言い渡した。

 問題になったのは、日本製紙クレシアが2017~20年に取得した紙を長くするための3件の特許で、表面の凹凸や包装に関するもの。同社側は、16年に発売したトイレットペーパーの「3倍巻き」に関する技術を22年発売の大王製紙の「3・2倍巻き」にまねされたと訴えていた。

 判決は、大王製紙の製品の凹凸の深さが、特許が定める数値の範囲にあるとは認められないことなどから、特許技術の範囲には含まれないと判断。特許侵害にはあたらないとした。

 日本製紙クレシアは「判決は到底承服できない。判決の内容を精査の上、当社の正当性を改めて主張し判決の是正を求める」などとして控訴する意向を示した。

 大王製紙は「当社の主張の正当性が司法の場で確認された。自社の知的財産権の保護を図るとともに、他社の知的財産権を尊重していく」とコメントした…

有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません

この記事を書いた人
米田優人
東京社会部|最高裁
専門・関心分野
司法、刑事政策、消費者問題、独禁法