27項目の短期的対策を提示 市電のインシデント相次ぐ熊本市交通局
熊本市電で事故やインシデントが相次いでいる問題で、市交通局は、検証委員会に短期的対策として27項目を盛り込んだ中間報告案を示した。
検証委は、相次ぐインシデントを防ぐために設けられた。案は25日の3回目の会合で示された。
27項目のうち21項目は実施済みで、この日新たに、添乗指導の強化とドライブレコーダーチェックの2項目を7月から始めたことが報告された。
添乗指導は、監督職員が1~2時間、実際に車両に乗って運転ぶりを見る。運転後に、問題点だけでなく良い点も伝える。レコーダーは事故の検証に使ってきたが、普段の運転も本人に見せて自分の課題を認識できるようにした。
レコーダーチェックは対象者75人のうち約50人に対して約10分ずつ実施した。委員からは「昼と夜では運転の仕方が違う。ラッシュ時にはなおさらだ。1人当たり1~2時間かけ、きっちり分析するべきだ」と注文が付いた。
検証委会長で組織安全や事故防止が専門の吉田道雄・熊本大名誉教授は、インシデントや事故を起こした当事者5人にヒアリングした。その概要もこの日報告された。
「安全のためには遅れても構わない」という指示は徹底されていた。しかし「遅れたままでは迷惑をかける」「プロとして運行時刻を守る必要はある」という声も上がったという。
吉田会長は「インシデントを止めるには、責任を問うだけではダメ。何でも申告できるような職場環境づくりが必要だ」と話した。
中間報告案はこの日の討議を踏まえて修正され、31日に大西一史市長に提出される。
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インシデント防止の主な対策■
【実施済み】
・教習動画作成
・ドア開け防止の緊急研修
・管理職による個人面談
・ダイヤ改定による労働環境改善
・配線の損傷状況確認
・運転手順の明確化
【実施中】
・添乗指導強化
・ドライブレコーダーチェック
【検討中】
・信号の補助表示装置
・ドア状況を確認する新装置