子どもに戦争をどう伝えるか 「怖い」という気持ちを笑わないで

有料記事フォーラム

大坪実佳子

 8月15日の終戦記念日が近づくと、過去の戦争について知る機会が増えます。子どもがショッキングな映像や写真を見て、つらい気持ちになることも。大人はどう関わり、戦争や平和について何をどのように伝えたらよいのでしょうか。みなさんと考えます。

まるで自分が同じ痛みを体験したよう

 「『怖い』という気持ちを笑わないで」。千葉県の福嶋尚子さん(42)は、そう話す。

 小学校低学年くらいの頃、学校でアニメ映画「はだしのゲン」を見た。原爆が落とされ、風船を持った女の子の全身が一瞬で溶けるように焼けるシーンに、まるで自分が同じ痛みを体験したかのように傷ついた感覚になった。

 それ以来、風船を見るたび、そのシーンが頭をよぎった。広島の親戚の家に行ったときは、多くの乗客が被爆し亡くなった路面電車を見るたびに恐怖がよみがえった。

 学校や地域で再び「はだしのゲン」の上映会があったときは、「もう戦争の怖さも戦争をしてはいけないことも十分わかったから、見せないで」と懇願した。幸い無理に見せられることはなかったが、友達に「もう見たくない」と言うと「なんで? びびってるの?」と笑われた。

原爆ドームもずっと避けてきた

 広島平和記念資料館や原爆ド…

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    長島美紀
    (SDGsジャパン 理事)
    2024年7月28日9時9分 投稿
    【視点】

    日本では、3月10日の東京大空襲の慰霊法要、6月23日の沖縄の慰霊の日、8月に入ると広島・長崎の原爆犠牲者慰霊平和祈念式典、15日の全国戦没者追悼式と、様々な機会に平和について学び、考える機会があります。その機会にどう学ぶべきなのか、考えさ

    …続きを読む
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    インベカヲリ★
    (写真家・ノンフィクションライター)
    2024年7月28日13時54分 投稿
    【視点】

    小学生の頃、広島の平和記念資料館へ行って、当時はまだあった被ばくした人の人形を見て、その後もしばらく思い出しては震え上がったのを覚えている。 先日知り会った人は、長崎の原爆で被爆した校舎を使っていた小学校の出身で、併設された原爆資料館の各階

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