「ブラック霞が関」の原因、官僚の答弁作成 でも国会審議に問題は?

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神野勇人

 長時間労働が常態化し、「ブラック霞が関」と呼ばれる官僚の働き方。最大の原因は、国会審議の答弁書の作成とされる。しかし、そもそも政治家が質問を政府側に事前通告し、官僚が作った答弁書を閣僚が読み上げるという国会審議のあり方に問題はないのか。

 6月19日の党首討論で、立憲民主党の泉健太代表は通常国会でのこれまでの論戦を振り返り、こう切り出した。「総理とやり取りしていて残念だったのは、なかなか本音が聞けない。それはどうしても答弁書を読んでいるというところが大きかった」。官僚任せの答弁ばかりで自分の言葉で語らない首相への皮肉だった。

 国会審議では長らく官僚が事前に議員から質問内容を聞き取る質問取りをし、通告内容を元に答弁書を用意することが常態化。国会論戦の活性化を妨げ、官僚の長時間労働の要因になっているのが実態だ。

 内閣人事局が国会対応にあた…

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この記事を書いた人
神野勇人
政治部|自民党担当
専門・関心分野
国内政治、選挙、地方自治
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    上西充子
    (法政大学教授)
    2024年7月24日9時15分 投稿
    【視点】

     「議論を尽くせ」――社説などではよく、そう締めくくられるのですが、実際のところ、国会審議では野党側が議論を求めても、答弁に立つ首相や大臣は用意された答弁書を読み上げるだけであることがほとんどです。委員会審議は一問一答ではないため、やりとり

    …続きを読む
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    上西充子
    (法政大学教授)
    2024年7月24日11時0分 投稿
    【視点】

     国会審議で状況が動いた、と感じた場面があります。2017年3月15日の衆議院厚生労働委員会における、井坂信彦議員の質疑に対する塩崎恭久厚生労働大臣の答弁です。  この委員会では職業安定法の改正をめぐる審議が行われており、実態と異なる好条

    …続きを読む