被害体験は強く、加害意識は弱く 甘い認識を超えて戦争を伝えるには
聞き手・桜井泉
今年もあの戦争を語る夏がめぐってきた。歴史学者で中央大学准教授の宇田川幸大(こうた)さんは、戦後日本の平和主義は、空襲や原爆など悲惨な戦争被害の体験に強く支えられてきたと言う。そこでは、植民地支配や侵略など日本の加害責任を問う意識は弱かったと。来年は戦後80年。戦争体験者がわずかになる中、ネットなどで広がる荒唐無稽な歴史修正主義に絡め取られないためには、何が必要だろうか。
――戦後日本の平和主義の特徴は何でしょうか。
「もう戦争は、こりごりだという意識が、平和主義を強く支えてきました。戦場での経験や空襲、原爆、大陸からの引き揚げ、シベリア抑留など悲惨な戦争体験がもとになりました」
「一方で、この平和主義は…
- 【視点】
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