「戦争は悲惨だね」で終わらせないために…大人は何をどう伝えたら?

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聞き手・大坪実佳子

 8月15日の終戦記念日が近づくと、戦争や平和について子どもが知る機会が増えます。ショッキングな映像や写真を見た子どもがトラウマ(精神的外傷)を抱えてしまう恐れもあるなかで、大人は何を、どんな風に伝えたらよいのでしょうか。日本プレイセラピー協会代表理事で臨床心理士の本田涼子さんに話を聞きました。

「悪いことが起きているのは自分のせい」と考える傾向

 ――子どもに戦争について教える際、年齢による認知の発達の違いをどう考えたらいいですか。

 個人差が大きいのですが、一般的に未就学や小学校低学年くらいの子どもは、現実を大人のように正確に把握することはできません。戦争や災害の映像をTVで見たとき、同じ映像の繰り返しでも、それがいま起きていることだと思ったり、その場所が遠いのか近いのかわからず、自分の生活が今にもおびやかされると感じたりします。

 また、認知的にはまだ因果関係の正確な把握が難しく、「悪いことが起きているのは自分のせいだ」と考える傾向があります。

 ただ、だからといって幼い子どもが全く何もわかっていないわけではありません。むしろ、大人の怒りや不安、恐怖はとても敏感に感じ取っています。

 ここ数年、ウクライナやパレスチナ自治区ガザなどでの戦闘に関する報道が以前より増えています。大人の不安やストレスも高まっていて、子どもたちもそれを感じているのではないでしょうか。

 真実をある程度伝えることは、安心感につながります。

「平和」の概念を理解できるのは小3、4年

 「お友達とケンカするように…

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    武田緑
    (学校DE&Iコンサルタント)
    2024年7月27日16時8分 投稿
    【視点】

    この季節に読むことができてよかったなと思います。戦争はもちろん、差別や貧困なども含めて、この世界にある人間が引き起こしている様々な問題を、子どもたちと共に考えたいと常々思っています。こういったことに向き合って考えて、何か行動を起こしてくれる

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    高橋真樹
    (ノンフィクションライター)
    2024年7月27日22時55分 投稿
    【視点】

    子どもの頃に読んだ戦争に関する絵本などは、良くも悪くも、長く記憶に残るものです。 私は長年、核問題に携わってきましたが、広島や長崎出身の友人の中で、子どもの頃の平和教育などがショックでトラウマになり、見たくない、聞きたくないという人が何人

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