3分間待つのだぞ 世界初市販用レトルトカレーと大阪、徳島結ぶモノ

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文・寺下真理加 写真・外山俊樹

 明治期にカレーが日本に入ってきた時、そのレシピは謎に包まれていました。やがて日本でもカレー粉が作られ、戦後はカレールーも登場。とはいえカレー粉を使う場合、小麦粉を油やバターで焦げないように炒めなければならず、カレールーも、具材を切ったり煮込んだりする必要があります。そんな手間のかかる料理だったカレーが、「魔法の袋」の誕生で、一気に簡単便利になりました。

 湯煎で3分、出来上がり。「誰でも失敗しないカレー」を理念に掲げた、世界初の市販用レトルトカレー「ボンカレー」は、1968年に産声をあげた。

 徳島で創業し、主に医薬品を扱っていた大塚グループは64年、関西でカレールーを製造販売していた会社の経営を引き継いだのを機に、食品分野に進出した。現在の大塚食品の前身だ。

 ヒントになったのは、社員が…

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この記事を書いた人
寺下真理加
文化部|be編集部
専門・関心分野
音楽、民俗学、サブカルチャー