日本はなぜ、ウクライナを支援するのか 在キーウ大使インタビュー

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聞き手・藤原学思

 米ワシントンで開かれていた北大西洋条約機構首脳会議(NATOサミット)が11日に閉幕し、ウクライナの加盟については「不可逆的な道」と明記されました。この1カ月間、積極的に外交を展開してきたウクライナ。情勢は今後、どうなるのか。日本を含むパートナー国はどのように支えていくのか。松田邦紀・在ウクライナ日本大使に12日、オンラインで話を聞きました。

 ――8日には、小児病院を含めて大規模な被害が出て、キーウだけで33人が亡くなりました。

 キーウ市内に警報が鳴ったのは月曜日(8日)の午前9時50分ごろ、市民が週の初めに活動し始める時間です。大使館でも1週間の打ち合わせをしていた最中でしたが、規則に基づいて避難しました。

 オフマディト小児病院は日本も過去に支援してきた病院です。私も現場に駆けつけました。がれきが積み上がるなか、警察や消防が救助活動にあたり、市民は水や食料、医療品を手に続々と集まってきていました。政権幹部が歩き回り、被害状況をノートにメモしている様子も目にしました。

 困難な時にこそ、ウクライナの人びとは団結する。以前からそう感じていましたが、その日も感銘を受けました。日本の医療関係者からも「機器を送る」という申し出があり、感謝しています。

 ――翌9日は「追悼の日」でしたね。

 日本大使館でも弔意を示すため、半旗を掲げました。一方で10日からは、市民が平穏を取り戻そうと「普段通りの生活」を心がけているように見受けられます。

 「レジリエンス」(立ち直る力、打たれ強さ)という言葉をウクライナではよく耳にしますが、こういうことなんだと実感しています。

 忘れてはならないのは、ウクライナでは毎日のように民間人の死傷者が出ていることです。今回は国際社会の関心を集めましたが、民間人に対する攻撃は国際法上、許されるものではありません。それは言い続けていかなければなりません。

■NATOサミット「最大限の…

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    佐藤優
    (作家・元外務省主任分析官)
    2024年7月13日21時57分 投稿
    【視点】

     11月の米大統領選でトランプ氏が当選した場合について、松田邦紀大使は、<昨年からウクライナの政府や軍の関係者と議論を重ねてきました。一般論で言えば、選挙期間中と当選後では態度が異なる場合もある。また、前回のトランプ政権がウクライナに対して

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