京アニの夢と情熱、「繫ぐ碑」公開 事件5年を前に「仲間忘れない」
36人が死亡した2019年の京都アニメーション放火殺人事件から5年となるのを前に、事件を後世に伝えるための碑が京都府宇治市の公園に建立され、14日に公開された。
「志を繫(つな)ぐ碑」と名付けられた。京アニによると、36人の志を長く記憶にとどめるとともに、国内外からの支援に感謝を示すシンボルという。
碑文は「夢と情熱を人から人へ」との言葉から始まり、こう続く。
「アニメーションを通じて果てしなく広がる夢」
「1本の線を描くのにも長年培った技術と深い想(おも)い」
「子どもたち、そしてすべての世代に届く確かな映像と物語」
事件は2019年7月18日に起きた。第1スタジオ(京都市伏見区)が放火され、京アニの役員や社員36人が死亡し、32人が重軽傷を負った。
遺族有志や京アニなどでつくる「志を繫ぐ会」は、スタジオ跡地での設置を検討している非公開の慰霊碑とは別に、ファンにも向けた碑の建立準備を進めてきた。
会の要望を、京アニ本社のある宇治市が受け入れ、京阪宇治駅近くの「お茶と宇治のまち歴史公園」での建立が決まった。費用には、事件後に国内外から寄せられた義援金の一部を充てたという。
高さ3メートル。亡くなった36人をしのび、36羽の鳥が羽ばたく姿をイメージ。京アニのスタッフがデザインし、設計・制作は東京芸術大の教員らが担った。
14日午前には、碑の建立を報告する式典が開かれ、遺族や京アニ従業員らが出席した。
「想いを寄せる象徴」
「事件から5年が経とうとしていますが、私たちは大切な仲間のことを忘れたことはありません」との従業員代表のメッセージが読み上げられた。
碑については「一羽一羽の鳥たちがたくさんの方々の想いをくみ、そして繋いでいくという気持ちを込めて形にしています」と説明。「多くの方にとって、想いを寄せる象徴となることを願っております」と希望した。