バイデン政権が「欧州の米国依存を加速」の見方も NATOの将来は

有料記事ウクライナ侵略の深層

ワシントン=下司佳代子

 北大西洋条約機構(NATO)首脳会議は10日、ウクライナの将来的なNATO加盟について、加盟に向けた「不可逆的な道」を進むとの宣言をまとめ、結束を演出しました。しかし、根源的な同盟の課題は残っています。米外交問題評議会のリアナ・フィックス研究員は、バイデン米政権が連携を主導する形が「あまりにもうまくいった」ことで、欧州の米国依存を加速させてしまったと指摘しています。詳しく聞きました。

 ――ウクライナ情勢への対応で、米国のリーダーシップに副作用があったということですか。

 バイデン政権が、ウクライナ支援も中国への対抗も同盟強化も主導してくれたので、欧州はこの間、かなり気楽だったはずです。

 米国の外交政策には構造的な変化が起きています。米国はいずれ、欧州の安全保障を犠牲にしてでも、インド太平洋地域の安全保障により多くの資源と関心を集中させなければならなくなります。米国が特に中国を自国と同格の敵対国とみている以上、欧州はこれまで米国が果たしてきた役割の一部を引き受けなければならない。ところが、(欧州との連携に懐疑的な)トランプ前大統領の再選を恐れるばかりで、建設的な対話がなされていないのです。

他国に耳を傾けるリーダーの不在

 バイデン氏が大統領でいる限…

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