音におびえるようになった子供 歴史のつながりの中にある暮らし
沖縄季評 山本章子・琉球大学准教授
2歳の子供は突然、大きな音がだめになった。きっかけは自治会の防災無線。それから選挙カーの大音量におびえるようになり、生まれたときから慣れていた米軍機の騒音もいまではこわがる。
沖縄では、北朝鮮のミサイル発射を知らせるJアラートと連動して防災無線が流れる。眠っている深夜や早朝に突然、家の中で携帯電話からけたたましいアラーム音が鳴り響き、続いて外で「ミサイル発射。ミサイル発射。北朝鮮からミサイルが発射されたものと見られます。建物の中、または地下に避難して下さい」という機械音声が2回繰り返される。
起こされて泣いた子供が母親の腕の中でうとうとしていると、電源を切り忘れた父親の携帯電話から避難の呼びかけの解除を知らせるアラーム音が再び鳴る。急いで切ると、またも防災無線の放送……。
今年6月には沖縄県議会選があり、地元選挙区では立憲民主党と社会民主党の確執からオール沖縄候補が乱立した。保育園から帰る子供の前を、候補者の名前を拡声器で連呼する選挙カーがひっきりなしに通る。「こわい。はやくにげようよ」と子供が泣くので道を変えると、別の選挙カーが向こうから来る。
自宅の上空は普天間飛行場に…
- 【視点】
学校現場で活用する「琉球・沖縄史」のカリキュラムづくりに専念するために、沖縄の県立高校を退職した30代の元教諭に以前、取材でお会いしたことがあります。退職を決断するに至ったのは、10年以上社会科を教える中で「沖縄戦にいたる歴史と戦後の歩みが
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