「自殺するな、アフリカに来い」農村の青年が日本に語りかける幸福論

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小川尭洋

 自殺するな日本人――。日本から1万キロ以上離れているアフリカ西部のカメルーンから、思い悩む日本人にエールを送る青年がいる。投稿した動画は100万回再生を超え、「命を救われた」とのコメントが相次ぐ。いったい何が、日本人の心にここまで響いているのか。

「過労自殺が多いと聞いた」

 《日本人、過労自殺が多いと聞いた。死なないで欲しい。仕事は辞めていい。世界はとても広い。アフリカに来い》

 昨年11月、カメルーン西部の農村デュラで養鶏場を営むカメルーン人のコンボさん(33)は、X(旧Twitter)にそんな文章を投稿した。本を読む中で、日本の過労自殺の問題を知り、ショックを受けたためだった。

 コンボさんは、日本語と英語で村の生活などを紹介する人気YouTuberでもあり、日本人のファンが多い。アフリカ諸国で路上生活者の支援に取り組む本圓(ほんえん)雅希さん(23)との出会いがきっかけで、Google翻訳を活用しながら日本語で発信するようになった。タレント本田望結さんの物まねをするなどユーモラスな言動が話題を呼び、登録者は10万人を超えている。

「最後にDMで……」

 自殺しないよう呼びかけた投稿は拡散し、日本人から多くの反応があった。その中で一通のメッセージを見て、スクロールする指がとまった。

 《次、自殺しようと思ってま…

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この記事を書いた人
小川尭洋
デジタル企画報道部

人種差別、海外ルーツの人々、歴史認識、政治と教育