中絶薬備蓄から訴訟準備まで 米リベラルが急ぐ「もしトラ」対策

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Charlie Savage, Reid J. Epstein, Maggie Haberman, Jonathan Swan/The New York Times 抄訳=城俊雄/朝日新聞GLOBE編集部

The Resistance to a New Trump Administration Has Already Started

 もしトランプ前大統領が今年2024年11月の米大統領選で再選され、公約通りに不法移民の大規模な強制送還に踏み切ったら、どう対応すべきか――。そんなシナリオに備えて、反トランプ陣営は、訴訟で対抗する準備を進めている。第2次トランプ政権が税務調査権と徴税権を持つ内国歳入庁(IRS)を使って特定の団体を標的にしてきても対抗できるよう、ある団体はすでに新たな監査法人と契約した。民主党の知事が率いる州政府の中には、妊娠中絶薬の備蓄を進めるところもある。

 トランプ政権の再来に備え、民主党関係者や進歩派の活動家、監視団体、元共和党員など、広範な反トランプ派はいま、さまざまな準備を進めている。その背景には、トランプ氏の復権は各団体・組織が推進する政策テーマのみならず、米国の民主主義自体に重大な脅威を及ぼす、との共通認識がある。

 「トランプ氏は法律を無視し、米国の制度の限界に挑むと明言している」と話すのは民主・共和両党の州政府関係者らと連携する超党派の民主主義監視組織「ステーツ・ユナイテッド・デモクラシー・センター」のジョアンナ・リドゲイト最高経営責任者だ。「我々の視界の先は非常に暗い」

州またいだ流通どうなる

 米連邦最高裁は6月13日、人工妊娠中絶のために使われる経口中絶薬「ミフェプリストン」の連邦承認無効を求める訴えを退けた。しかし、第2次トランプ政権が承認を取り消すか、あるいは19世紀の道徳法規を持ち出してきて、州境を越えて中絶薬を運ぶことを犯罪と認定するのではないか、とリベラル陣営は危惧している。

 ワシントン州のジェイ・インズリー知事(民主党)は、かりに第2次トランプ政権が誕生しても、その期間中、女性たちがミフェプリストンを入手できるよう、同州内に十分な量の錠剤をすでに確保したと話す。

 「州内に物理的に保管しているので、トランプ氏や中絶反対派が(州をまたいだミフェプリストンの)流通を禁止しても、それに対抗できる」とインズリー知事はニューヨーク・タイムズ(NYT)に語った。「この薬の使用期限は5~6年だ。トランプ政権が再来しても、乗り切れる」

大統領に返り咲けば変革を断行する、とトランプ氏は公言しています。一方、NYTが取材した中道・左派系の団体幹部のほとんどが、トランプ氏の復権阻止に全力を尽くしていると語ったそうです。

 大統領に返り咲けば抜本的な…

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    マライ・メントライン
    (よろず物書き業・翻訳家)
    2024年6月27日10時45分 投稿
    【視点】

    「民主党がバイデン氏よりも若くてしっかりした候補者を擁立する」という形で動けばこの記事で挙げられているような小細工はそもそも不要になるはずなのだが、そうならないところに現代アメリカの病根の深さというものを感じずにいられない。

    …続きを読む