K-POPが「政治化」? 「代弁者」への期待、立ち位置に苦慮も

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守真弓

 K―POPなど韓国カルチャーが世界的な人気を呼ぶ中、その政治的な影響力が目立つようになった。権力側がアーティストの人気を利用しようとするだけではなく、最近ではファンたちが政治的主張をアーティストに託す動きも生まれている。ファン層が広がり、その背景は多様化していて、アーティストが難しい立場に置かれるケースも増えている。

 「北朝鮮は汚物風船を飛ばした。韓国の返答:BTSのヒット曲を大音量でかけること」(米ウォールストリート・ジャーナル紙)。今月、世界にこんなニュースが流れた。朝鮮半島の緊張が高まる中、韓国軍が約6年ぶりに軍事宣伝放送を再開し、ニュースなどとともに「BTS」の曲を流したのだ。

「韓国軍は無敵になる」

 「朝鮮半島では、まだ冷戦は続いている。拡声機放送でヒットソングを流すことは1970~80年代からやってきたことで珍しいことではない」。ネットメディア「コリア・フォーカス」の徐台教編集長は言う。冷戦期にはデビッド・ボウイがドイツの西ベルリンから壁越しにコンサートをし、東ドイツの若者に大きな影響を与えたとされる。「北朝鮮の人がどれだけBTSを知っているのかはわからないが、これだけのスターを生んだという韓国の優位性がBTSに表れている。そう対外的に示すためのイメージ戦略という意味合いがある」。2018年にはガールズグループ「Red Velvet」などが平壌でコンサートを行った。

 人気が増すにつれ、韓国スタ…

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守真弓
文化部
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東アジアのエンタメ文化
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    松谷創一郎
    (ジャーナリスト)
    2024年6月25日17時51分 投稿
    【視点】

    K-POPがグローバルな人気をさらに拡大するなかで、意識を向ける対象がさらに複雑になりつつあるという「女性K―POPグループの運営関係者」の指摘はとても興味深くありました。 こうした状況はもちろん受け手(ファン)の拡大とそれにともなう多様

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