子どもの性被害を防ぐために 日本版DBS創設へ、残った「宿題」

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川野由起 聞き手・大貫聡子

 仕事で子どもと接する人について、事業者に性犯罪歴の確認を義務づける新制度「日本版DBS」が創設される。国会審議を通じ、制度の実効性を高めるための「宿題」も積み上がった。子どもの性被害を防ぐには、犯歴の確認だけではなく総合的な対策が必要、との指摘も出ている。(川野由起)

 制度は、犯歴開示と就業制限をする英国のしくみと機関「DBS(Disclosure and Barring Service)」を参考にしている。

 憲法の「職業選択の自由」、刑法や労働法制の規定――。憲法や各法令などと整合性を保つ範囲で制度設計されたが、子どもの性被害を防ぐため、高い実効性を求める与野党から多くの注文がついた。制度の創設を盛り込んだ「こども性暴力防止法」は全会一致で可決、成立したが、ついた付帯決議は19項目にのぼった。

 「非常に難しい法案だった。実効性のあるものにすべく、せめぎ合いでぎりぎりバランスを取ったが、たくさんの宿題をもらった」。政府関係者はそう話す。

 法案の提出前から大きな議論となったのが、確認対象となる犯歴と照会期間だ。

 対象の犯歴は当初、不同意わ…

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この記事を書いた人
川野由起
くらし報道部
専門・関心分野
こどもの虐待、社会的養育、ケア、依存症、生活保護
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