突然の水枯れに「静岡はわがまま」思えない リニア工事に住民の不安

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米田怜央
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 水田が一面に広がり、格子戸の家々が立ち並ぶ岐阜県瑞浪市大湫(おおくて)町。江戸時代中山道の宿場町として栄えた人口約140人の小さな集落で、生活で使っていた井戸が干からび、ため池の水が消えた。近くで進むリニア中央新幹線(品川―名古屋)のトンネル工事が原因とみられる「水枯れ」に見舞われた町を5月下旬、記者が歩いた。

消えたカエルの鳴き声

 異変が起きたのは2月下旬、飲み水として使っていた水源の一つが突如、枯渇した。各家庭の井戸でも水位低下が確認され、3月には300年以上の歴史がある「天王様の井戸」が枯れた。

 「あぶない!」。水遊びを禁止する看板が立つ農業用のため池は、5月下旬に訪ねると、かろうじて数日前の雨水が残ってはいるものの、ほぼ干からびて、底がひび割れていた。池にはカエルやメダカなどの生き物がいたというが、今では見る影もない。

 70代女性は「池がこんな風になったことなんてない。近くを通るとカエルの鳴き声がうるさいぐらいだったのに、今は聞こえない」と嘆く。

 大湫町では、少なくとも井戸やため池など14カ所で水位低下が確認されている。

語気強める住民 「対応コロコロ変わる」

 大湫町は名古屋からリニアの中間駅ができる中津川市の途中の位置にある。JR東海によると、全長7.4キロの日吉トンネルの工事が町中心部から数百メートルの場所で進み、2月中旬からは毎秒20リットルの湧水(ゆうすい)が発生。同月下旬には設置した観測用井戸で、水位の低下を確認したという。

 しかし、その後もトンネル工…

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