映画「天上の花」の脚本改変巡る訴訟 原告の脚本家が一部勝訴の判決
映画の脚本を同意なく書き換えられたとして、脚本家が「共同脚本家」の荒井晴彦氏に賠償を求めた訴訟で、大阪地裁(武宮英子裁判長)は30日、荒井氏に5万5千円の賠償を命じた。
映画は俳優・東出昌大さん主演で2022年に公開された「天上の花」。今作がデビュー作だった原告と荒井氏が共同脚本家となっている。
裁判記録によると、原告は公開の数年前から脚本を書き始めた。荒井氏の意見を踏まえて改稿を重ね、21年8月に「第10稿」を書いた。
訴訟で原告は、「完成脚本」と考えた第10稿が同意なく荒井氏に大幅に変えられ、撮影が進んだと主張。「DV(家庭内暴力)を正当化し、女性を軽視していると認識されてもやむを得ない内容」の改変があり、名誉が傷つけられたとも訴えた。
一方、荒井氏は「もともと脚本を加筆・修正することを条件に、共同脚本家として名前を出すことに承諾した」と説明。「第10稿は『たたき台』。改訂が当然予定され、原告も同意していた」として、請求を棄却するよう求めていた。
原告は制作会社と配給会社も含め連帯して110万円を賠償するよう求めていたが、両社との間では今月8日、両社が謝罪し、再上映に一定の条件を付けるなどの内容で和解が成立した。
映画の公式Xには16日、「必要な説明を怠ったことで脚本が不本意な内容となり、著作者人格権に問題のある結果が生じてしまった」と謝罪する投稿がなされた…