人を喜ばせたい、驚かせたい 鳥取市の「わらべ館」のイベント係長
3月にテレビ放送されたお笑いコンビ・かまいたちの冠番組に、童謡とおもちゃの博物館「わらべ館」(鳥取市)の案内役で出演したスタッフの高橋智美さん(40)。ボケ担当の山内健司さん(松江市出身)ら2人を出迎えた冒頭、いきなり「プッピス」と自己紹介し、私物の笛を勢いよく吹いた。「フルスロットルですねえ」と突っ込みが入り、笑いに。
プッピスは、名前と似た星座「とも座(Puppis)」から母親が考えてくれたニックネーム。語感と笛の吹鳴で「つかみ」には十分。その後も番組内で、のこぎりの刃を弓で弾く演奏で驚かせたり、案内しながら笛を予想以上に長く吹くアドリブを入れたりするなど、売れっ子の2人を相手に堂々と渡り合った。
放送後は入館客から「見ました」と声を掛けられ、SNSには「一度行ってみたい」とのコメントも。「自分が楽しそうにしている姿を見てもらえた」と満足そうだ。
中学、高校と吹奏楽部でクラリネットを吹いた。大学で学んだ音楽教育にかかわる仕事がしたいと、わらべ館のスタッフに応募。今はイベント係の係長としてイベントやコンサートを企画し、マスコットキャラクターの着ぐるみに入る日もある。
わらべ館のシンボルであるからくり時計の「謎」に迫ったこともある。1995年の開館から、1時間ごとに動く人形と楽しい演奏で子どもたちを楽しませる一方、人形のデザインやテーマ曲の制作者は不明だった。
古い段ボール箱にあった企画書を頼りに編曲者に会い、編曲の意図を聞き出した。からくり時計の音は絶対に楽しくなければならない、悲しさを感じさせないようにつくった――。成果はわらべ館が年1回発行している童謡・唱歌研究情報誌に掲載された。
学生時代にはちんどん屋のアルバイトを経験。「目の前の人を喜ばせたい」「入館者を驚かせたい」というスタッフとしての思いにつながっている。「たまに外したりもしますが」
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たかはし・ともみ 福岡県出身。福岡教育大を出て2006年から、わらべ館に勤務。イベント係の係長。さまざまな笛を集めて吹くのが趣味で、お手玉の愛好者グループにも所属。楽器用のこぎりを弓で弾く演奏法を習得するため大阪に約2年通った。