「否認事件」では平均13.5カ月に 長期化する公判前整理手続き

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森下裕介 山本逸生 遠藤隆史 大滝哲彰 大村久 金子和史 田中恭太
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 裁判員制度が始まって15年。「難しくてわかりにくい」と言われた刑事裁判は大きく変わったが、解消されない課題もある。専門家は「国民が主体的に参加する意義を社会で共有すべきだ」と指摘する。

高止まりする裁判員の辞退率

 「職場の同僚は理解を示してくれたが、会社で公休は認められなかった。世の中の理解がもっと進めばいいなと思う」

 広島地裁で1月にあった裁判員経験者の意見交換会。殺人未遂事件で裁判員を務めた40代女性は計8日間、裁判所に赴いた苦労を語った。2月に大阪地裁で開かれた裁判員経験者の意見交換会でも同様の声が上がった。

 「裁判員に選ばれたら公的に有休としてほしい」「有休なのか、特別休暇なのか、という議論があった。選ばれたら行ってきなさい、というくらいの後押しがあれば、参加しやすい」

 裁判員には1日で最大1万100円の日当が支払われ、職務に必要な休暇の取得が認められている。休暇を取得するため、候補者などに選ばれたことを勤め先に伝えても差し支えない。裁判員の職務のために休暇を取得した従業員に、解雇や不利益な扱いをすることは禁じられている。

 国は、法定外の特別休暇にあたる裁判員休暇制度の導入を呼びかけている。裁判官が企業などを訪れ、休暇制度の創設などを求めているほか、厚生労働省は、裁判員休暇の導入例などを冊子にまとめ、普及を促している。

 裁判員休暇制度を設けている関西地方の建設会社では、裁判員の選任手続きに参加した時点から時間単位で利用でき、日程の上限もない。給与も支払われる。繁忙期である建物の完成時期と重なるなどして辞退した従業員も複数いるといい、担当者は「休暇制度があれば辞退せずに済む、というわけではない。だが、休暇制度を設けていること自体に意味がある」と話す。

 厚生労働省の委託調査による…

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