「脱原発」1年、試されるドイツ 再エネ転換に遅れ、原発回帰論も

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ベルリン=寺西和男
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 東京電力福島第一原発事故を受け、ドイツが「脱原発」を果たしてから1年が過ぎた。最後に止めた原発では廃炉への作業が本格化している。ただ、再生可能エネルギーへの転換にはハードルも高い。欧州ではロシアのウクライナ侵攻を機に原発推進の動きが強まっており、「脱原発」の成功モデルを示せるか試されている。(ベルリン=寺西和男)

 ドイツ南部バイエルン州のランツフート近郊。広大な田園の向こうに、高さ165メートルの巨大な冷却塔が現れた。昨年4月に停止したイザール原発2号機だ。停止から1年となる先月、報道陣向けの説明会が開かれた。

 「もう動かすことは不可能。原子力の時代は終わりだ」。原発のカーステン・ミューラー所長(61)は淡々と話した。

 2011年の東京電力福島第一原発の事故を受け、ドイツは22年末までに全17基を止めると決定。同年2月のロシアのウクライナ侵攻でエネルギー価格が高騰したため稼働を4カ月延ばしたが、昨年4月にイザール原発を含む稼働中の3基をすべて停止した。

 ただ、その後も自動車産業が…

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