法改正で地方が国の家来に? 保坂展人・世田谷区長「救えぬ命出る」

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聞き手・池田伸壹
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 大規模災害や感染症など「国民の安全に重大な影響を及ぼす事態」で、国が自治体に指示できるようにする地方自治法の改正案が、国会で審議されている。人口90万を超える東京都世田谷区保坂展人区長は、この改正案に強く反対している。新型コロナウイルス感染症対応の経験をもとに、「救えない命が出る」とまで語る理由を聞いた。

 国が地方自治体に「補充的な指示」を出せるようになる法案が審議されています。閣議決定すれば「国は殿様、地方自治体はその家来」となりかねません。

 「対等・協力」のはずの国と地方自治体の関係を大きく変えてしまうことは、地方自治の危機であるだけでなく、人々の命を危険にさらすことになり得ます。

 2020年からの新型コロナウイルスへの対応を考えてみましょう。私自身、92万人の世田谷区民の命を守ろうと必死でした。日本中、いや世界中で試行錯誤を繰り返したのです。

 当初、国はPCR検査を受けるのに「37・5度以上の発熱が4日以上」を目安の一つとしました。すべての希望者にPCR検査をしたら、検査体制が崩壊すると心配したのでしょう。ところが、検査を受けられないまま重症化し、亡くなる方もいて、不安の声が寄せられていました。

 世田谷区ではまず広い検査が重要と考え、目安にこだわらず、希望者はできるだけ検査を受けられるようにしました。感染者が増加し、保健所だけでは限界が近くなると、区内の医師会や病院の責任者の協力を得て、新しくPCR検査センターをつくりました。

 こうした独自の動きには「世…

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