「泣き言いっている場合じゃない」 NHKアナを変えた中学生の言葉

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編集委員・石橋英昭
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 「多くの大切な命、家、風景が失われました。私は生まれも育ちも宮城県石巻市です。これが夢だったらいいのに、という思いで暮らしております」

 東日本大震災の発災から9日後、2011年3月20日。NHK仙台放送局が制作し、いまも続く「被災地からの声」の第1回は、津田喜章(よしあき)アナウンサー(51)のこのコメントで始まった。

 岩手、宮城、福島をディレクターと訪ね、被災した人に「一番訴えたいこと」を聞き、スケッチブックに書いてもらう。演出を極力排し、放送する。

 スタイルはずっと変わらない。現在は東北地方で週1度、土曜の朝10時5分から流れる24分間の番組は、通算540回を超え、延べ5700人の声を伝えてきた。変わらずキャスターを務める津田さんは、仙台から転勤しない道を選び、番組は休んだこともない。

 最初は、逃げ出したい一心だった。

ネットで騒がれた「頑張らなくていい」

 故郷の実家は流された。なん…

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