セウォル号沈没事故10年 繰り返さないための「記憶」と「記録」

有料記事序破急

論説委員・貝瀬秋彦=国際社説担当

 韓国南西部の木浦新港の一角に、さび付いた大型の船が保管されている。2014年4月16日、仁川から済州島に向かう途上で沈没した旅客船「セウォル号」。この事故で、修学旅行中だった高校生を含む約300人が犠牲になった。

 当時、ソウルで勤務していた私は同僚とともに、韓国社会を揺るがした事故の取材にあたった。テレビに映る沈みゆく船の衝撃的な姿がいまも脳裏に浮かぶ。

 あれから10年。引き揚げられた船体が置かれている場所を訪ねると、船を囲むフェンスに小学校教師の男性が「忘れません」と書いた黄色いリボンを結んでいた。毎年、4月16日の前後に訪れるという、その男性は話した。

 「事故後、いくつかの点で安…

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