核のごみ文献調査は「お金目当てでもいい」 課題は不透明な選定方法
原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場選びで、佐賀県玄海町の脇山伸太郎町長が、選定プロセスの1段階目となる「文献調査」の実施を求める国の申し入れ受諾を表明した。同町議会に調査受け入れを求める請願が提出されたことが表面化してから1カ月足らずの判断だ。手続きの進め方や住民の合意形成のあり方について、長崎大の鈴木達治郎教授に聞いた。
――玄海町には九州電力玄海原発があり、文献調査の受け入れは原発立地自治体として初めてです。この意義をどう考えますか。
これまで最終処分場の建設地としてタブー視されてきた原発立地自治体に選択肢が広がり、処分場選定の議論が進むことが期待できる点で良いことだと思います。原発への賛否にかかわらず、核のごみがある以上、最終処分場は必要です。
ただ、国が玄海町に申し入れた理由が不透明です。たしかに原発がある場所は地質的に安定している所も多いですが、最終処分の適地を示した国の「科学的特性マップ」で玄海町は全域が「好ましくない」地域とされるシルバーに分類されています。すでに原発があって原子力のリスクに対する許容度が高く、受け入れられやすいだろうという理由で選んでいるように見えます。最終処分場が建設されたとしても、いつか原発が廃炉になった段階で明らかにリスクは減ります。逆に原発が全くない場所ではどうしてもリスクは高まるわけです。
「科学的根拠に基づいて選ぶべきだが…」
――国の選定プロセスはどうあるべきなのでしょうか。
文献調査は現状、市町村が応…