電力を消費する都市、原発が立地する地方 「核のごみ」に欠けた対話
原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場選定をめぐり、佐賀県玄海町が第1段階の「文献調査」を受け入れるかどうかに注目が集まっている。人口4900人の小さな町が投げかけている問題は何か、全国の電力消費者はどのように受け止めればいいのか。原発事故からの復興や廃炉を研究し、核のごみの地層処分をめぐる問題にも詳しい松岡俊二・早稲田大教授に聞いた。
――「核のごみ」の処分について、佐賀県の北西部に位置する玄海町の対応が焦点となっています。
「核のごみ」をどうするかは、日本社会の問題として、全国で考えないといけないと思います。東京の電力消費者が使ってきた(電力による)廃棄物も、最終処分場に入る可能性があるわけですから。
消費量からいえば、東京圏が一番ごみを出しています。それを九州や北海道に、ある面では押し付けようとしているわけです。それを東京の人はちゃんと考えないといけないと思います。
これはエネルギー政策や原子力政策の根幹に関わる問題で、単に玄海町の文献調査受け入れだけの問題ではありません。
意味があいまいになる文献調査「地に足がつかず、問題を先送り」
玄海町が受け入れれば、全国の原発立地自治体にはかなり大きなプレッシャーがかかることになる。原発を受け入れることですでに大きな負担をしている地域が、さらにほかの原発関連施設を受け入れないといけないというロジックになると、大きな問題と思います。
最終処分場は一般的に、工事…
- 【視点】
松岡先生のおっしゃるように、一番大切なのは対話であり、議論をすることです。そのベースに、社会科学を含めた科学があります。この、リスク対策上最も大切な点が余りにもなおざりにされてきたことの歪みが、福島第一原発の事故で明らかになりました。そし
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