ウクライナの「プランB」とは どうなる反転攻勢 大統領側近に聞く

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聞き手・藤原学思=キーウ
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 ウクライナゼレンスキー大統領の最側近の一人として知られるミハイロ・ポドリャク大統領府長官顧問が8日、キーウ市内で朝日新聞の取材に応じた。ロシアによる全面侵攻が長期化するなか、6月にスイスで開かれる「平和サミット」への展望や期待、今後の反転攻勢のほか、日本の支援について語った。

 ――6月15~16日、各国首脳級でウクライナ和平の道筋を協議する初めての「平和サミット」が開かれます。主なポイントはどのようなものですか。

 重要な点は三つある。

 1点目は、出席国を可能な限り多くすることだ。そのリストには、いわゆる「中立国」も含まれるべきだ。なぜ公正な形で戦争を終わらせなければならないかを説明する。

 2点目は、戦争を終結させる唯一可能なものとして「平和の公式」(2022年11月に発表された10項目の停戦条件)を固定化することだ。ウクライナの立場をまったく考慮していない他の計画や思惑、提案がないようにしたい。

 3点目は、世界的なルールである国際法の順守という原則に立ち返る必要性を確立することだ。できるだけ多くの国々が、ロシアに譲歩することは不可能であり、それは安全保障の破壊を意味するということを宣言しなければならない。

 ――成果物はどのようなものになるのでしょうか。

 どのような文書の形式になるのかは、現在協議が続いている。少なくとも、「公正な平和」とは何かについて触れ、侵略者に有利な形で戦争を終わらせてはいけないといった、世界的な政治空間の理解を的確にとらえるような「政治宣言」が出されるべきだ。

 主権や領土保全を保証する国際法に従って、ロシアにウクライナ領から撤退する必要があるとわからせるような、政治的、外交的、情報的な圧力について規定すべきだ。

「正義がなければ何も保証できない」

 ――「公正な平和」をどう定義しますか。

 とてもシンプルなものだ。誰かがあなたを殺しにきたら、その人物は敗北しなければならないし、罰せられなければならない。それができなければ、何度でも犯行がくり返される。正義という概念は、この世界を多少なりとも良いものにしている。正義が殺されれば、誰も、誰にも、何も保証できなくなる。ロシアは日本に来て、こう言うだろう。「北方領土だけではなく、私たちは日本から他にも奪いたい」と。

 ――「平和の公式」以外の「プランB」は腹案としてあるのでしょうか。

 現在のロシアにとって、戦争…

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