「応援演説で200万円」使途不明の政策活動費、透明化どこまで

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松山尚幹 大久保貴裕

 自民党派閥の裏金事件を受けた政治改革をめぐり、「政策活動費」が焦点に浮上している。党から幹事長ら幹部に渡され、使い道は非公開。使途と金額について、各党は「公開」を訴えるが、どこまで透明化するかが議論の焦点となっている。

 政策活動費は一体、何に使われているのか。自民の経理局長経験者は「ほとんど選挙に使っていた」と明かす。

 実際、これまでの自民の政策活動費は、衆院選のある年に総額が膨らむ傾向がある。党三役経験者は「幹事長が選挙で応援演説に行く時にお金を持っていく。1回200万円ほど」。重点候補には多めに渡すこともある。金額の多寡が党内にあつれきを生じさせかねないため、誰にいくら渡したのかわからないようになっているという。

 そのため政策活動費は、幹事長の「力の源泉」とも言われてきた。二階俊博氏には幹事長在任中の5年で約50億円、甘利明前幹事長にもわずか35日間の在職中に3億8千万円が支出されている。政策活動費の使途公開を訴える公明幹部は、「政策活動費の見直しに後ろ向きなのは自民のなかでも幹部だ」と指摘する。

 2022年の政治資金収支報告書によると、政策活動費としての支出は自民が圧倒的に多く、党幹部15人に対し、計14億1630万円。茂木敏充幹事長が9億7150万円と7割近くを占める。自民幹事長室は朝日新聞の取材に、「党勢拡大や政策立案、調査研究をおこなうため、支出している。政治活動の自由に鑑み、従来より回答は差し控えている」と書面で回答した。

与野党に根強い「限定公開論」 プライバシーに配慮主張

 立憲民主党日本維新の会

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    西田亮介
    (社会学者・日本大学危機管理学部教授)
    2024年5月9日16時3分 投稿
    【視点】

    政治とカネの問題に関して、いまいちど理念と制度、運用のあり方、それぞれについて国民的議論の遡上にあげるべきだ。現状、政治とカネに関して、少なくとも理念と複雑な制度、さらにブラックボックス化した運用実態に大きな乖離があり、ほとんどの国民は問題

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    • #裏金
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    星野典久
    (朝日新聞政治部次長)
    2024年5月9日16時3分 投稿
    【視点】

    現在、自公で見直しの協議が行われている「政策活動費」。その多くは選挙対策費として使われているようですが、細かな中身は様々です。その細かな費目までを公開するかどうか、ここが「政策活動費」の見直しの論点となっています。 自民党は当初、大まかな費

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