めざす認知症の人との「共生社会」 厳しい財政や介護離職…課題山積

有料記事

吉備彩日 高橋健次郎
[PR]

 16年後、65歳以上のおよそ3人に1人に認知機能関連の症状がある――。そんな現実を前に政府は、支え合いの「共生社会」を掲げる。様々な施策を講じているが、介護サービスの財源逼迫(ひっぱく)や介護離職など、課題も山積みだ。

 「認知症の人が尊厳を保持しつつ希望を持って暮らす共生社会の実現を推進する」。1月施行の認知症基本法ではこう強調する。

 認知症の人や家族らは、長らく「何も分からない」といった偏見や、孤立した介護などに苦しんできた。公益社団法人「認知症の人と家族の会」の鎌田松代代表理事は、「認知症になったら、人生を諦めなければいけないという絶望感があった」とし、同法は当事者が生きることへの期待につながっているとみる。

 現実には誰もが認知症になりうる。厚生労働省が公表した今回の推計では、2025年に65歳以上で認知症の人は471万人(12・9%)。高齢化による認知症のリスクとなる要因が高まり、40年には584万人(14・9%)、50年に586万人(15・1%)、60年は645万人(17・7%)にまで増加すると見込まれる。

「認知症」に改めたのは20年前

 認知症の人が増える状況を踏…

この記事は有料記事です。残り800文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません