朝ドラ俳優はなぜ、薬物に手を染めたのか 胸に刺さった先輩の言葉

有料記事きょうも傍聴席にいます。

滝口信之
[PR]

 法廷に立ったのは、NHKの連続テレビ小説大河ドラマに出演するなど、脇役として活躍した俳優(58)だった。裁判では、きらびやかな芸能界でストレスをためこみ、違法薬物に手を染めていった経緯が明かされた。

 3月12日に福島地裁であった初公判。被告は上下黒のスーツに白いシャツ、黒縁のめがね姿で法廷に現れた。

 裁判長に職業を問われると、小さな声で「11月まで俳優をしていました。(現在は)特に仕事をしていません」と述べた。さらに「無職ですか」と尋ねられ、「はい」と答えた。

 起訴内容は、2022年11月~23年1月ごろ、違法薬物と認識しながら、大麻などの規制薬物を4回譲り受けたというもの。同年11月、自宅で大麻リキッドなど計3・32グラムを医薬品医療機器法の指定薬物と誤認するなどして所持した罪にも問われた。

 裁判長から起訴内容に誤りがないかを尋ねられると、被告は「間違いありません」と認めた。

 検察官の冒頭陳述や被告人質問などから、事件に至った経緯をたどる。

酒を飲むことや人と話すのが苦手

 被告は30年以上前、ファンとして見ていた劇団のオーディションを受けたことがきっかけで、役者の道に進んだ。舞台などに出演すると酒宴などに誘われるが、酒を飲むことや人と話すことは苦手だった。

 そんな中、医薬品医療機器法に基づく厚生労働省令で22年3月、「HHC(ヘキサヒドロカンナビノール)」は指定薬物に追加され、販売や所持、使用が禁じられることを知った。

 弁護人「HHCを買うきっかけは」

 被告「ワイドショーで規制さ…

この記事は有料記事です。残り2808文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません