環境省、水俣病患者らに謝罪へ 懇談中マイク切る 「不適切だった」

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市野塊 渡辺淳基

 今月1日にあった水俣病患者らの団体との懇談の場で、環境省がマイクの音を切るなどして団体側の発言を遮った問題をめぐり、環境省は7日、近く団体側に直接謝罪する意向を明らかにした。林芳正官房長官も対応は「適切でなかった」との認識を示した。

 懇談相手だった伊藤信太郎環境相による謝罪は現時点で予定されていないという。

 現地で司会を務めた、環境省の木内哲平・特殊疾病対策室長によると、懇談の場では各団体が話す時間を3分と設定。伊藤環境相の帰りの新幹線に間に合わせるため、時間を超えるとマイクの音を切る運用を決めていた。このため、時間経過後に環境省の職員が2団体に対し計2回、マイクの音を切ったという。

 省内で聞き取った限り、こうした運用方針は昨年もあったが、実際には制限時間を超えてもマイクの音を切ることはなかった。今回は事前に団体側に説明したり、会場でアナウンスしたりして理解を求めるつもりだったが、「急いでいて気が動転していた」ため、しなかったという。

 問題について、伊藤環境相には7日に報告し、マイクの音を切られた2団体に事務方が謝罪するよう指示を受けたという。ただ、具体的な時期や、再び懇談の場を設けるかどうかは決まっていないという。

 担当者はマイクの音を切ったことなどによって「不信感を与えたことは不適切だった」と説明。3分という時間設定も適切かどうか検討するとした。

 林官房長官は7日の記者会見…

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    岩尾真宏
    (朝日新聞名古屋報道センター長代理)
    2024年5月7日19時19分 投稿
    【視点】

    「原告の方々が長年にわたり、様々な病状でお苦しみのこと、本当に胸の痛む思いでございます」。昨年9月、大阪地裁が熊本、鹿児島両県にまたがる不知火(しらぬい)海沿岸で暮らした後、大阪などに移り住んだ原告128人全員を水俣病と認めた判決をめぐり、

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    藤田直央
    (朝日新聞編集委員=政治、外交、憲法)
    2024年5月7日19時41分 投稿
    【視点】

    水俣病に詳しくない方も、決して他人事と思わないでいただきたい。国民の生命を守るのが国家の役割であり、それが公害対策において行政の縦割りで疎かにならないよう、政治主導で生まれたのが環境庁です。それが環境省に格上げされた組織が、首相が「聞く力」

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