米軍とロシア軍が「同居」 変わるサヘルの安全保障、担い手の交代劇

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ヨハネスブルク=今泉奏 ワシントン=下司佳代子
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 アフリカのサハラ砂漠南部に広がるサヘルで、安全保障の体制が大きく変わろうとしている。昨年7月、軍事クーデターが起きたニジェールでは米国が米軍の撤退方針を決め、入れ替わるように基地内にロシア軍が「入居」する事態になっている。

 「テロリストが人々を殺し、町を焼き払う間、米国人は何もせず、我々の国土にとどまっていた」。昨年7月のニジェールのクーデターで権力を掌握したチアニ将軍を支えるゼイン首相は、そう米国を批判した。米紙ワシントン・ポストが14日、伝えた。

 米国にとって、ニジェールはサヘル地域の過激派組織を監視する重要な拠点だった。しかし、クーデター後、軍政と米国の溝は深まるばかりだった。米国務省によると、駐ニジェール米大使と米アフリカ軍幹部は4月下旬、ニジェール政府関係者と、米軍の「秩序と責任ある撤退」に向けた話し合いを始めた。

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 国務省のミラー報道官は声明で、クーデターが起きて以降、「双方のニーズと懸念に対応する形で安全保障協力を続けることを協議してきたが、合意に達しなかった」と無念さをにじませた。米ニュースサイト「ポリティコ」は5月10日、国防総省がニジェールから米軍を撤退させる命令を正式に出したと報じた。

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