部活動の地域移行 取り組む自治体にまず必要なことと最終目標

有料記事部活改革

聞き手・藤田絢子
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 国が進める公立中学校の部活動の地域移行は、4月に「改革推進期間」の2年目に入った。初年度を終えて見えた課題やこれから取り組む自治体にとって必要な視点を、国の検討会議メンバーだった笹川スポーツ財団・吉田智彦研究調査グループ長に聞いた。

 ――2025年度までとする推進期間の初年度が終わりました。

 「国のモデル事業を受託した自治体では取り組みの運営形態や体制の課題が見えてきて、それにどう対処するかという段階に入りました。まだ動き出していない自治体にとっては『先行事例に学びながら慎重に進めたい』という感覚もあるでしょう」

 ――見えた課題というのはなんですか。

 「笹川スポーツ財団の調査では、中学から高校に移る段階で一定のスポーツ離れが生じる傾向がみられます。ある自治体で、中学校から休日の活動を地域クラブ活動に移行したところ、何らかの理由で約3割が不参加の選択をしたといいます。改革の推進がスポーツ離れの時期を早めることにならないか懸念しています」

 ――なぜ移行がスポーツ離れの時期を早めることにつながるのですか。

 「一つは、生徒が払う活動の…

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    末冨芳
    (日本大学文理学部教授)
    2024年5月11日9時46分 投稿
    【視点】

    【子どもも教員も搾取されてきた昭和型スポ根長時間部活・高校入試による部活動強制加入からの卒業が短期ゴール/搾取と人権侵害を学校現場から追放することが最終ゴールでは?】私も国の検討会議委員でしたが、私のゴールは違います。子どもも教員も搾取され

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    中小路徹
    (朝日新聞編集委員=スポーツと社会)
    2024年5月9日11時0分 投稿
    【解説】

     地域部活動の推進政策を受け、現場は確かに混沌としている状況です。  3月に開かれた日本部活動学会の大会でも、現状と展望について、活発な意見交換が繰り広げられました。  少子化で廃部が増え、スポーツや文化活動に子どもたちが取り組める場が減っ

    …続きを読む