オーバーツーリズム対策 GW、江ノ電の混雑緩和へ実証事業

芳垣文子

 【神奈川】大型連休後半の3日、JR・江ノ島電鉄鎌倉駅で、国によるオーバーツーリズム(観光公害)対策の実証事業が行われた。

 江ノ電で特に混雑する鎌倉駅~長谷駅間は歩いて移動するよう呼びかけ、駅や電車の混雑緩和を目指す試みだ。4日も実施される。

 江ノ電の改札があるJR西口前は午前中から多くの人が行き交った。長谷駅までは徒歩30分程度。係員が二つの徒歩ルートや途中の商店街の紹介などを書き込んだマップを配布。また「高徳院(大仏)まで徒歩約30分」と書かれたプラカードを掲げた誘導員も配置された。

 台湾から来たという男性(65)はマップを手に「江の島に行こうと思ったが、電車が混んでいるというので長谷まで歩きます」と言いながら歩き始めていた。

 事業を実施する関東運輸局は観光客向けにアンケートを用意。ゴールデンウィークの江ノ電の混雑を知っていたか、長谷まで歩いてみようと思うかなどを尋ね、QRコードの入ったチラシを配るなどして協力を呼びかけた。

 同じ場所では、鎌倉市の社会実験も行われた。通勤や通学などに江ノ電を利用する沿線住民が、並ばずに駅構内に入場できるようにするための取り組みだ。

 事前に申請して発行された「江ノ電沿線住民等証明書」を示すと、優先的に入場できる。昨年は約2300枚発行され、利用したのは46人だった。5日までの3日間の予定で、駅構外に乗車待ちの列ができた場合に実施される。

 ただ、中にはあえて申請しない住民もいる。鎌倉駅から6駅の七里ケ浜駅近くに住む女性(79)は「長年暮らしてこの時期の混雑の大変さはよく分かっている。1時間ほどですが、履きやすい靴で歩いてしまいます」と話した。(芳垣文子)…

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