「やりすぎでは」と言えなくて ゆがんだ共同生活が奪った5歳児の命

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山田みう

 夫から家庭内暴力(DV)を受けた女性は、男児とともに家を飛び出し、シングルマザーとなった。

 ある内縁夫妻宅に身を寄せた1年2カ月後。住宅の床下から男児(当時5)の遺体が見つかり、実母と内縁夫妻の3人が起訴された。

 裁判で浮かび上がったのは、ゆがんだ共同生活で続けられていた「しつけ」の実態だった。

 2023年11月。傷害致死や死体遺棄などの罪に問われた内縁の妻(56)の初公判が、さいたま地裁で開かれた。

 傷害致死罪の起訴内容は、同居していた内縁の夫(36)や実母(32)と共謀して22年1月、男児を床に投げ倒し、死亡させたというもの。遺体を床下の土中に埋めた死体遺棄罪▽プラスチック製のたるに入れて横倒しにし、外から何度もたたいた暴行罪▽猫用のおりの中に閉じ込めた監禁罪などにも問われていた。

 被告は冒頭、起訴内容について問われ、「傷害致死については、手を出していませんし、けがをさせるような指示もしていません。ほかのことは間違いありません」と述べた。

 男児と実母、被告と内縁の夫――。なぜ、4人が共同生活を送るようになり、男児の命が奪われたのか。検察側と弁護側の冒頭陳述や、それぞれの証言などからたどる。

 実母は大阪の実家で、両親と姉、その娘と暮らしていた。15年ごろ、インターネットを通じて知り合った元夫と「駆け落ち」する形で埼玉県本庄市に転居し、結婚した。

 だが、すぐにDVを受けるよ…

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